Michikusa道草

浅田次郎の『王妃の館』

著者:浅田次郎  2001年  集英社より発行

崖っぷち旅行会社の客室ダブル・ブッキングツアーのお話です。宿泊は本のタイトルでもある、パリの超高級ホテル「王妃の館(シャトー・ドウ・ラ・レーヌ)」、浅田次郎らしい豪快な笑いがあり、ちょっと泣ける作品です。

ツアー名「光(ポジ」はお値段10日間で150万円から、参加者はリストラ奨励金を使い切るOL、借金を抱え心中目的の中年夫婦、バブル崩壊後に成り上がった不動産王と元銀座のホステス、小説家と編集者。そして、もう一方は格安19万8千円の「影(ネガ)」ツアー。メンバーは、真面目過ぎて警察を辞めてしまった中年男性、フランス人の元恋人を探すゲイ、詐欺師など。もちろんお互いもう一つのツアーの存在は知らされていません。一部屋に二組の泊り客。またこの個性的な現代の人物に加え、17世紀にさかのぼってルイ14世をめぐる人々も登場します。これだけの人々の背景と心情を描いて、読者を笑わせ泣かせる作者は本当に凄い!

この作品の中には17世紀の「愛」から、現代の様々な「愛」までが登場人物の数だけ書かれています。親子愛、師弟愛、恋愛、「愛」にもいろいろあるってことです。

私のまわりの読後の反応は、面白かったけど…それで?みたいな感じだったのでちょっと残念ですがおすすめです。

ひらい

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